ポリマー系アクリレート

アクリル樹脂アクリレート

熱硬化や紫外線硬化どちらの硬化反応であっても、硬化後は乾燥や化学反応によって塗膜の密度は上昇し、体積は収縮します。
それにより内部応力が発生しますが、その後、応力が無い状態に戻るよう応力緩和が働こうとします。

UV硬化は熱硬化と比べると非常に早いスピードで反応が進むため、応力緩和が間に合わず、内部応力が残りやすくなります。
この残存した応力は硬化後に徐々に緩和されますが、歪が大きい場合には経時変化によりワレや基材からの剥離を引き起こし、
トラブルとなるケースもあります。 硬化収縮はUV硬化型樹脂にとって永遠の課題となっています。

ダイセル・オルネクスでは体積変化を抑制する方法として、高分子量体を利用したアクリレート、アクリル樹脂アクリレート
をご用意しています。アクリル基の反応点(濃度)を減らすことで、良好な密着性を可能としています。
一方、硬化不足を補うため、高分子量体の構造を最適化することにより塗膜硬度の低下も防いでいます。


以下の3つのグレードは、SUSやクロムといった難密着基材への密着性に優れます。基材への密着性を確保するため、分子量の大きなポリマーを含んでいます。
難密着性基材(金属やPPなど)への密着性に特化したこれらのアクリル樹脂アクリレートは、多くの場面で活躍しています。


表:ステンレス、アルマイトへ、クロムメッキへの密着性

            
項目 外観 粘度(mPa・s)
/25℃
固形分(%) 溶剤 鉛筆硬度 密着性(初期)
SUS304表面HL
A1050P表面アルマイト
SPCC-SB 表面Crメッキ
密着性(煮沸試験後)
SUS304表面HL
A1050P表面アルマイト
SPCC-SB 表面Crメッキ
EBECRYL305
淡黄色液体
7000
>99

HB
一部凝集破壊
90/100
90/100
100/100
塗膜白化
90/100
90/100
100/100
KRM8912
淡黄色液体
200
80
酢酸エチル20%
H
凝集破壊せず
100/100
100/100
100/100
凝集破壊せず
100/100
100/100
100/100
KRM8981
(開発品)
淡黄色液体
50000
>99

H
凝集破壊せず
100/100
100/100
100/100
凝集破壊せず
100/100
100/100
100/100

【条件】塗布膜厚; 5-6μm   鉛筆硬度;JIS K5400に準拠、基材SUS304
           密着性;2mmクロスカット、セロテープ剥離後の塗膜残存数   煮沸試験;沸騰水に30分浸漬後、水分を拭き取り室温乾燥


【参考】:硬化収縮、重合収縮のメカニズム
硬化前の分子(アクリレートモノマーやオリゴマー)は分子間力(ファンデルワールス)によって一定の距離以上がとられており、分子同士はそのファンデルワールス半径よりも接近することができません。紫外線硬化によりアクリレートの重合反応が進むと、アクリル基が反応し共有結合が形成され(ここではC-C結合)、前述のファンデルワールス半径よりも短い距離となることで体積収縮が起こります。アクリル当量(「分子量/官能基数」:アクリル基ひとつあたりの分子量)を上げることで収縮を抑えることができます。



アクリル系オリゴマー:サイクロマーP

アクリル基(アクリロイル基)とカルボキシル基を含有するラジカル硬化型アクリルポリマーを高沸点系溶剤で希釈した製品です。
カルボン酸基を有するため、アルカリ現像が可能です。
アクリル基とカルボニル基の数は任意に変更でき、要求に応じた性状/性能に調整可能です。
サイクロマーPは、電子材料の基板製造時に必要な各種レジスト、及び塗料の原料樹脂として幅広い用途で採用されています。
また、主骨格の特性から溶剤揮発後の塗膜はUV硬化前の状態でタックフリーとなり、例えばフィルムへ塗工する際、硬化前の巻取りを実現します。
KRM8452やKRM8200といった多官能UV樹脂と併用することで、塗膜硬度の急激な低下を防ぐとともに硬化収縮の低減が可能となります。フィルムのハードコート用にも最適です。


   特徴
  - 二重結合(C=C)を含有し紫外線、電子線又は熱によるラジカル硬化が可能です。
  - カルボキシル基を含有しアルカリ現像(溶解)が可能です。
  - 主鎖は脂肪族構造で側鎖に脂環骨格を有します。
  - ハロゲン化合物を原材料として使用しておりません(ノンハロゲン)
  - 溶剤乾燥後(硬化前)の塗膜表面はタックフリーです。※(ACA)Z254Fは除きます。
  - 硬化物は高Tgです。※(ACA)Z254Fは除きます。
  - 色相変化が小さく耐熱性、耐候性に優れます。
  - (ACA)Z254F は柔軟性タイプ、他は中~高硬度タイプです。

   用途事例
  - レジスト:ソルダーレジスト、エッチングレジスト、カラーフィルターレジストなど
  - 塗料:プラスチックコート、フィルムコートなど
  - インク:顔料、シリカなどの分散バインダー


物性一覧表

ポリマー系アクリレート・アクリル樹脂アクリレート

製品名 内容 特徴・用途 官能
基数
ガードナー色数 粘度
[mPa.s]
カッコ内は℃
平均
分子量
[Mw]
酸価
mgKOH/g
密度
at 25℃
[g/cm3]
硬化物
Tg
[℃]
C=C当量
計算値
引張
強度
[MPa]
破断
伸度
[%]
反応性 硬度 柔軟性 耐溶剤性 密着性
EBECRYL 303 HDDA=45%含有
 
難密着基材への密着性 2 - 550 (25) 900 - 1.10 - - - - ●●●● ●●●●
EBECRYL 1710 HDDA = 60%
 
密着性、耐候性 2 < 1 26000 (25) - - 1.07 82 - 44 3.6 ●● ●●● ●● ●● ●●
EBECRYL 767 IBOA=30%含有 難密着基材への密着性、柔軟性 - < 3 8500 (60) 1500 - 1.08 - - - - ●●●● ●●●●
EBECRYL 305 アクリルオリゴマー
 
難密着基材への密着性 3 - 7000 (25) 900 - - - - - - ●● ●● ●●● ●●●●
KRM8713B MMPG=55%含有 防曇性、
親水性
- 100A 2500 (25) 35000 - - 100 - - - - - - - -
KRM8912 酢酸エチル=20% 金属、ガラスへの密着性、高硬度 4 70A 200 (25) 1000 - 1.06 - - - - ●●● ●●●● ●●● ●●●●
IRR 679 酢酸ブチル=30%含有 柔軟性、蒸着トップ向け、密着性、耐候性 2 35A 1600 (25) - - 1.00 - - - - ●● ●●●● ●● ●●●●

アクリル系オリゴマー:サイクロマーP

製品名 内容 特徴・用途 官能
基数
ガードナー色数 粘度
[mPa.s]
カッコ内は℃
平均
分子量
[Mw]
酸価
mgKOH/g
密度
at 25℃
[g/cm3]
硬化物
Tg
[℃]
C=C当量
計算値
引張
強度
[MPa]
破断
伸度
[%]
反応性 硬度 柔軟性 耐溶剤性 密着性
(ACA) Z200M MMPG = 51%含有 酸基含有アクリレート
「サイクロマーP」
- - 7500 (25) 12000 114 - 137 450 - - ●●● ●●● ●●● ●●●
(ACA) Z230AA MMPG = 47%含有 酸基含有アクリレート
「サイクロマーP」
- - 5000 (25) 13000 40 - 120 450 - - ●●● ●●● ●●● ●●●
(ACA) Z250 MFDG = 55%含有 酸基含有アクリレート
「サイクロマーP」
- - 15250 (25) 22000 69 - 136 380 - - ●●● ●●● ●●● ●●●
(ACA) Z251 MFDG = 55%含有 酸基含有アクリレート
「サイクロマーP」
- - 7500 (25) 14000 66 - 136 380 - - ●●● ●●● ●●● ●●●
(ACA) Z300 MFDG = 53%含有 酸基含有アクリレート
「サイクロマーP」
- - 56000 (25) 21000 111 - 133 450 - - ●●● ●●● ●●● ●●●
(ACA) Z320 MFDG = 61%含有 酸基含有アクリレート
「サイクロマーP」
- - 16500 (25) 23000 135 - 140 450 - - ●●● ●●● ●●● ●●●
(ACA) Z254F MFDG = 45%含有 酸基含有アクリレート
「サイクロマーP」
- - 20000 (25) 21000 70 - 100 450 - - ●●●● ●● ●●● ●●● ●●●●

評価法(5段階評価):なし(低い) ←→ ●●●●(高い)

HDDA、IBOA : 弊社モノマー製品参照  MMPG : プロピレングリコールモノメチルエーテル  MFDG : ジプロピレングリコールモノメチルエーテル  DME : ジメチルエステル系溶媒